銀の背景をそっとのぞいてみましょう〜メルマガ掲載記事より〜

2021年7月16日

▲銀の国「イギリス」

銀製品は世界中にありますが、イギリスが銀の国と呼ばれるのはなぜでしょう。

各国の王族や貴族がシルバー食器を使用していた理由のひとつに、銀には硫黄化合物やヒ素化合物などの毒を食事に混入された場合、化学変化による変色で異変を察知できる性質があるからという説があります。
また、銀イオンはバクテリアなどに対して強い殺菌力を示すため、抗菌剤としての役割もあったようです。
銀の性質を活かした使い方ですが、イギリスが銀の国と呼ばれる理由には少し弱いですね。

次はどうでしょう。
フランス人やスペイン人などがイギリスの羊毛を買いに来た際、銀で支払っていました。ところが、この銀の純度が大陸側とイギリス側と違いました。重さは同じでも銀の含有量が違ったのです。その事実を知らず取引を続けるという大失態を犯してしまいました。結果、純度の高いイギリスの銀が国外へ流出、その事実が明るみになって国王が激怒。ようやくこの対策として銀の品位に基準を設ける動きに出たことがスターリングシルバーができたキッカケのようです。

イギリスの場合、すべての銀製品は検分所を通さなければなりません。検分を受けた純銀(純度92.5%)をスターリングシルバー(Sterling Silver)と呼びます。スターリングシルバーにはすべてホールマークと呼ばれる検分所認定の刻印が押されています。

ホールマークには5つの印があります。
・メーカーズマーク(生産者のマーク)
・スタンダードマーク(スターリングシルバーを表すマーク)
・メタル & ファインネス・マーク(シルバーの純度を表すマーク)
・アセイ・オフィス・マーク(検分所のマーク)
・デイト・レター(アルファベット1文字で検分を受けた年を表しますが通常はこれを製造年としているようです。)

5つのうち3つの刻印が押されている場合も多いです。チェルシーオールドでは、ホールマークの詳細がわかる本でチェックをしてお店に出します。

ほとんど見かけませんが、銀の純度が95.84%のブリタニアスタンダードと呼ばれるものもあります。また、17世紀以前のシルバー製品のほとんどは戦争の武器の原料となったためほとんど見かけません。

イギリス以外のヨーロッパの国の純銀はマークがあっても詳細が分からなかったり、マークすらないところもあります。それと比べると、イギリスの純銀製品は検分所を設けたことで信用が高いものとして扱われてきた事が分かりますね。

ちなみに、大陸側には両替商がいました。両替商は地域によって違う銀の含有量を全て把握して計算する高い能力をもっていたため、絵画にも描かれたようです。

イギリスには貴族階級制度が今も残っていることや、大英帝国時代に世界中から集めた高価な品物が今も残っていることなども銀の国と呼ばれる理由です。(フランスではフランス革命などの騒動の後に、銀器は溶かされお金として再利用されました。)

こちらのシルバートングは1905年のものです。銀の歴史、秘話、技術などを話しながらお茶の時間にいかがでしょうか。

↑画像↑1905年ホールマーク入りシルバートング(銀器) イギリスアンティークカトラリー ev02055

▲毒味完了のサイン「サルヴァ」

サルヴァとはトレイの古い言い方です。
17世紀半ば、王族や貴族の食事は使用人が毒味をしてから出していたのですが、サルヴァに食事がのっていれば毒味が終わっているサインでした。
サルヴァとはラテン語で「救済する」という意味合いだそうです。毒味完了のサインに使われていたことからこの言葉が充てられたのかなと想像します。

こちらのサルヴァはシルバープレートです。
シルバープレートは銅やニッケルなどのベースとなる金属にシルバーをコーティングしたものです。
日本では銀メッキと呼ばれていますね。
銀メッキと聞くと、日本では言葉の使い方で良い印象をもちにくいのですが、それは銀メッキの特徴を理解すると印象が変わります。現に日常の中にメッキされた物はたくさんあります。車や機械の部品、アクセサリー、カトラリー、仏像など。(メッキについては奥が深く、別の機会にご紹介しようと思います。)

当時、シルバープレートの技術の発展により、純銀の食器と見た目が変わらないため、一般家庭でシルバープレート製品が広がりました。また、丈夫で硬めの素材なので純銀ではできなかった成形や装飾が施された製品も生まれ、上流階級の人々も好んで所有していたそうです。

アンティークのシルバープレートのカトラリーを20年近く使われている方のお話では、コーティングした部分がペラッと剥がれた経験はなく、日常使っているうちにゆっくりと色が変化していく感じがするそうです。
そしてその変化も味わいとして楽しめるのが魅力の一つと話してくれました。

そんな楽しみ方ができるのは、当時のコーティング技術、またはベースになる金属によるのか、大切に受け継がれてきたからなのか定かではありませんが、約100年の時を経て今現在も使われていることが素晴らしいですね。

お手入れは、純銀と同じやり方で大丈夫です。東急ハンズや100円ショップにも専用の道具が売っていますし、歯磨き粉で磨いてもOKです。

こちらのサルヴァは多様な使い方ができそうです。アフタヌーンティーにお菓子をのせたり、ディスプレイやトレイとしてなど…日常に役立つアイテムです。
何はともあれ、毒味完了サインに使わなくてよい時代に生きているのは、幸せですね。

<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>

▲貴婦人たちの午後の社交も銀で 「アフタヌーンティー」

アフタヌーンティーを始めたのは、7代目ベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリア(1788~1861)です。
皆さまもよくご存じの「午後の紅茶」のラベルに描かれている貴婦人がアンナ・マリアです。

中国から伝わった当初、お茶は大変貴重で女主人が使用人にも触らせず鍵をかけて管理していたそうです。
銀製品も同様に保管されていました。

アフタヌーンティーのおもてなしは、女主人の仕事です。カップ&ソーサーは陶器ですが、ティーポット、シュガー入れ、トング、ボンボンディッシュ、ミルクジャグ、カトラリーなど銀で揃えたお茶のセットでお客様にお茶とお菓子を出していました。

当時の王族や貴族は今のスターのような存在でもあり、スターの生活は一般人にとって憧れでした。ライフスタイルを少しでも真似をしたい、取り入れたいという欲求がありました。アフタヌーンティーの例で言うと、当然、銀器は所有できません。
しかし産業革命後は、ガラス製品やシルバープレート技術の発展により作られたお茶のセットを手に入れ、アフタヌーンティーを楽しんでいたことでしょう。

こちらのようなケーキスタンドは、アフタヌーンティーでもてなす女主人の横に置いて使われていたそうです。銀で作られたこのようなスタンドは目にしたことがないので、おそらく木製のスタンドは上流階級でも使われていたと思われます。
本を置いたり、小物を置いたり飾ったり、実用品としてまたはディスプレイとしていかがでしょうか。

<上記写真の商品はSOLDとなっております。ご了承ください。>

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